スタッフブログ

19.09.03 カテゴリー:1 やってて良かった!おおきなお世話,3 ココが強み!おおきなお世話,7 ピアサポーター妻タカヤマ

命を繋ぐ名古屋から博多への路~800㌔13時間~ 2019.09.03

介護タクシー仲間の業者さんからの付添看護師同乗用務をいただく。
愛知県から福岡県までの転院に付添う。出発は夜の8時、到着予定は翌朝の9時過ぎ。
最長距離、最長時間、夜間移動の付添看護。
地元の福岡で治療したいという本人、家族の強い願いから、担当医師の転院許可がでたとのこと。

出発前々日に、本人への酸素投与が3ℓ/分から8~10ℓ/分に増量されたとの連絡をもらう。状態悪化からキャンセルになるかもしれないと思っていた。

やりがいのあるお仕事なのに残念だなと思う自分より、ほっとしている自分がいた。「やりがいがある=責任が重い」わけである。
タクシードライバーさんは救命士さんではあるけれど、看護師は自分一人である。緊張。

当日午前、事前の仮眠とも考えたが眠れないまま連絡を待つ。
午後、状態はよくないが予定通り転院するとの連絡をもらう。病状急変の時は途中、救急車で近くの病院に救急搬送するとのこと。

当日夜8時、大勢の病院スタッフに見送られて出発。

この業者さんの車は救急車仕様。横並びではあるが家族が3人まで付添い乗車できる。決して乗り心地は良くない。
しかし、乗れるだけ乗って付添いたいと奥様、お父様、お姉さまの3人が付添席に乗られる。
無事に九州までお連れしたいという気持ちが一層強くなる。

車中、自分で体を動かすことのできない本人が、できるだけ快適な体勢がとれるようにと、時おり車をとめて体の位置を工夫する。
スタッフはもちろん付添っている家族さんも手伝ってくださる。

奥様から聞くおなはし。

旦那様は福岡県、奥様は佐賀県出身で愛知県には親族はいない。小さいお子さんが二人。奥様一人での旦那様の看病するのが大変とのことで踏み切った今回の転院。
「今まで病気から逃げていたこともあり夫としっかり向き合うことができなかった。もう遅いかもしれないが。」と奥様。
「これからですよ。家族さんに甘えられるところは甘えて旦那さんとの時間作ってください。」と私から声をかける。
車の中でも奥様はずっと旦那様のかたわらで旦那様の呼吸にあわせてうなずき返し見守っておられる。
長い長い夜をほとんどだれも眠ることもなく過ごす。

外がやや白み始めたころ関門海峡をわたる。
「九州にきたとね」「もう少しやね」車内が明るくなる。なんとかここまで来ることができた。
病院に近いインターに近づいた頃、本人の実家に寄ってから病院へ行こうという話がでる。
ところが、インターを降りるころご本人が「寄らずに病院に行って欲しい」との意思表示。本人の血圧が下がり始め呼吸が浅くなっていく。
足を上げ、皆が手や足をたたき「もう少しで病院」「ちゃんと呼吸して」「ここでガンバらんと」「何のためにここまで来たか」と皆で必死にご本人を応援。

病院到着。病棟下の入り口に病棟スタッフが待ち構えていてくださり直ぐに病室ベッドへ。

処置がすみ、血圧が上がり、意識もうなづき返すほどに戻る。
「がんばったね」「やっとゆっくりできるね」「がんばってくれてありがとうね」

こうして皆そろって福岡の病院に来ることができたのは、ご家族様のおかげだと思いました。本当にありがとうございました。

ご夫婦の時間が長く長く続くことをお祈りいたしております。